「ひゃ、ひゃ」
跳ね回る水から逃げようとして体を曲げた杏は、更にバランスを崩した。
「きゃぅっ!」
今度は盛大にお尻から水たまりにつっこんだ……。
水を吸ったスカートの色が随分濃くなってしまっている。
おまけにさっき水が跳ねた時に、上半身の方もえらく濡れていたようだ。
つまりは全身ズブ濡れだ。
「……………」
止める暇も助ける暇もありゃしない。
一瞬でここまで持ってこられるとは……俺の想像を遥かに越えて、最悪の状況だった。
「い、いたぁ……っ……」
こけた時に体を打ったのか、杏はしばらく起き上がれずにいた。
「シスター、だいじょ……」
―――!!
俺は気付いてはいけないことに……気付いてしまった。
水溜りの中で転んでいる杏のスカートがめくれていて――パンツが覗いていた。
………パンツ見えてるし、服は濡れてるし。
…………。
いやいや!! ここは何も気付かなかったフリをしろ俺!
「…く……だいじょぶ、か?」
「…う、う……っ! みっ……みちゃ…だめですぅぅーっ!」
「す、すいません!」
必死で視線を外していたが、やっぱりダメだった。
真っ赤になった杏が、大慌てでスカートを直している。
俺も慌てて後ろを向いた。
(文化祭の買出しに一緒に行った帰り、ヒカル並のこけっぷりを見せる杏)
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