「必殺おそうじホウキ!! これで勝負です! どこからでも――」
「わわわわ、ヒカルちゃ〜ん〜!」
ヒカルが言い終える前に、一義の容赦ない攻撃が振り下ろされた。
しまった、このスピードじゃ間に合わない!
――――ヒカル!!
血が飛び散るわけでもなく……俺の目の前を、布キレがひらひらと落ちていった。
「はえ?」
構えたホウキがゴボウのように10センチメートル刻みでバラバラになる。
ヒカルは10センチになった棒を構えたまま、真っ白に硬直していた。
……下着姿で。
「は……はぁえ〜〜〜?」
「……」
パンツを残して。
ブラを残して。
もちろん、タイツも残す事を忘れちゃいない。
我が従兄弟ながら、正直芸術的な程の腕前だ……。
というか多分、コイツにしかできない芸当だろう。
「……はっ!」
…って感心してる場合じゃない!!
慌ててまだ放心しているヒカルに駆け寄り、とりあえず俺の上着をかけてやる。
「おい、ヒカル! しっかりしろ」
「…………はえ…」
一義はようやく動きを止め、刀を構えたままこちらを見た。
「うわぁーっ! こりゃまた芸術的な程の腕前だなオレ!」
―――俺もそう思ったが自分で言いやがると腹が立つ。
「こ、こらカズ! お前なんて事すんだっ!」
「いや、違うんだ! ほんとにからだが勝手に! うぅわわわわ!」
また刀がカタカタ鳴り始め、それにあわせるように一義も動き始める。
一瞬のうちに、騒ぎを遠巻きに見ていたうちのクラスの女子の間を駆け抜けた。
「いや(しゅぱぱっ)、ちょっと(ぴしゅ)、これは(ざしゃ)、これで(ざん)、どうも(すぱっ)、なんだか(どしゅ)、あれだ(さしゅ)」
……ぱさぱさぱさと、切られた制服が落ちる。
あんぐり口を開けたままの俺の前で、女子たちからいっせいに悲鳴が上がった。
(呪われた刀を抜いてしまって女生徒の制服を斬り捨て御免。わざとじゃないそうですが)
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